本人の同意があっても回答義務はない

本人が前職調査に同意していたとしても、会社が必ず回答しなければならないわけではありません。勤怠、懲戒、評価に関する記録は会社が管理する情報でもあり、外部に提供するかどうかは、会社の個人情報の取り扱い方針や社内規程に従って判断すべきことです。また、本人の同意があれば何でも提供してよいということでもありません。同意の範囲や情報の正確性、提供の必要性も確認する必要があります。

窓口を決めて回答範囲を統一する

前職調査の問い合わせがあった場合、総務や人事が窓口となり、回答する情報の範囲を統一しておくとよいでしょう。なお、個人情報保護委員会も、退職者の在籍状況や勤務状況に関する問い合わせについて、本人の同意や法令上の例外がない場合の第三者提供に注意するよう示しています。詳しくは個人情報保護委員会のFAQを確認してください。

在職中の従業員について金融機関などから確認の電話が入った場合については在籍確認の電話への対応、取引先から退職者の連絡先を聞かれた場合については取引先から退職者の連絡先を教えてほしいと言われたらで整理しています。

確認ポイント

  • 問い合わせ元の企業や担当者を確認する
  • 本人の同意が確認できるか
  • 同意の対象となる情報の範囲を確認する
  • 会社として外部提供を認める情報か
  • 主観的な評価や個人的な感想を回答していないか
  • 上司や元同僚が独自に回答しない運用になっているか

こんなケース、どうする?

「以前、〇〇さんは在籍していましたか?」と聞かれた。

在籍の有無も個人情報に当たります。本人の同意など、適切な提供根拠が確認できない場合には、その場で回答せず、会社の方針に従って対応します。

「勤務態度や退職理由を教えてください」と聞かれた。

本人の同意が確認できない場合は、回答を控えます。「特段、お話しするようなことはございません」「一身上の都合と聞いております」といった回答も、情報提供に当たる可能性があるため注意が必要です。また、同意がある場合でも、主観的な印象や個人的な評価を安易に回答することは避けます。

「本人から前職調査の同意を得ています」と言われた。

同意があると言われただけで回答せず、同意の内容や対象となる情報を確認します。そのうえで、会社として情報を提供するかどうか判断します。本人が同意していることと、会社が回答する義務を負うことは別の問題です。

元上司に直接、前職調査の電話がかかってきた。

元上司が個人的な判断で回答するのではなく、人事・総務など所定の窓口に引き継ぐようにします。退職者に関する情報提供について、社内で対応を統一しておくことが重要です。