匿名通報を受けたときの流れ
匿名通報を受けた場合には、「通報内容を記録する」→「具体的な事実が示されているか確認する」→「調査の要否を決める」→「調査担当者を決める」→「客観的な資料から確認する」というところまで運用を決めておくとよいでしょう。
最初に「誰が書いたか」を探らない
ここで避けたいのが、最初に通報者探しを始めることです。誰が書いたのかを探ることで、関係者への聞き取りから通報者が推測されたり、調査対象者に通報の存在が伝わったりする可能性があります。まずは勤怠記録、メール、申請・承認履歴、契約書、経費記録、防犯カメラなど、通報者を特定しなくても確認できる資料から事実関係を調べることを検討します。また、通報対象が直属の上司や経営者、内部通報の受付担当者自身である場合、その人物へそのまま通報を回してしまうと調査が成立しません。誰についての通報なのかによって、通常の報告ルートから外す仕組みも必要になります。調査結果を社内へどう公表するかは懲戒処分の社内公表・氏名公表もあわせてご確認ください。
確認ポイント
- 匿名の内部通報も受付対象にしていますか
- 通報を受けた日時、方法、内容を原文のまま保存していますか
- 通報内容から確認可能な事実を切り分けていますか
- 調査するかどうかを誰が判断するか決めていますか
- 通報対象者を調査担当者や報告先から外せますか
- 通報者を特定することを調査の前提にしていませんか
- 勤怠、メール、申請履歴など客観的な記録から確認できますか
- 調査に必要な範囲を超えて通報内容を社内共有していませんか
- 調査結果と会社が行った対応を記録していますか
こんなケース、どうする?
部署名、人物名、日時まで具体的に書かれていた。
匿名であっても確認可能な情報が揃っているため、勤怠記録やメール、申請履歴などから該当する事実があるか調査を開始します。
内容が抽象的で事実確認できる情報がなかった。
直ちに特定の従業員への聞き取りを始めるのではなく、調査可能な具体的事実があるかを整理します。匿名で追加情報を受け取れる通報窓口がある場合は、追加情報を求めることも検討します。
社内の誰が通報したのか見当がついた。
推測だけで本人へ確認したり、周囲に通報者について聞き回ったりせず、通報内容そのものの事実確認を進めます。
通報された相手が内部通報の担当役員だった。
通常の報告ルートには乗せず、その人物が調査や情報管理に関与しない別の報告・調査ルートへ切り替えます。
通報内容に経費の不正利用が具体的に書かれていた。
本人へ事情を聞く前に、経費精算、領収書、承認履歴、法人カードの利用履歴など、後から変更される可能性がある資料を確保して事実関係を確認します。
通報内容にハラスメントが書かれていた。
匿名であることを理由に終了せず、日時、場所、関係者などから客観的に確認できる事項がないかを整理します。被害者が通報者本人とは限らない点にも注意が必要です。
調査したが通報内容を確認できなかった。
匿名通報が虚偽だったと直ちに結論づけず、何を調査し、何を確認できず、どの時点で調査を終了したのかを記録しておきます。